T34『どーどー落ち着け私』

私の子供が「歩くより走る方が好き」と言った。

私は「なんで?走ると息が苦しくなって途中で止まっちゃうかもしれなから、歩いた方がよくない?」と聞いた。

子供は「走った方が早く着くし、一番になりたいよ」と答えた。

私は「でも走っているとコケた時ケガするし、一番じゃなくてもいいんじゃない?」と続けた。

子供は「大丈夫だよ、転ばないし、最後まで走れるよ、絶対に負けたくないよ!」と言った。

そうだよね。

それよく分かる。

私も好奇心が旺盛なうえ、

負けず嫌いなので、

つい前のめりになりがち。

自分の積極的なところは好き。

でも人のアドバイスも聞かず突っ走ってしまう

悪い癖があるのを自覚してる。

歩いた方がいいと頭では分かっているのに、

走り出したくなっちゃう、

こんなペースで走ってたら最後まで持たないのに…

結局は止まる方法が分からず、

もうケガするのを覚悟してコケるしかない、

捨て身の作戦を取らざるを得なかった

という経験もある。

「どうせ買うなら一番ハイスペックなものを」

「せっかくだからフルオプションで」

「いずれ必要になるから一式まるごと」

一体なにに勝とうとしているのか分からないけど、

盛らずにはいられない。

使いこなせなかったPC、

忙しいだけの旅行、

手つかずのまま捨てた教材、

集めちゃった玩具、

止め時が分からない習い事oh…no…

突っ走って良いことはあまりない。

コケて血だらだらの膝小僧を抱えて、

メソメソ泣く羽目になるになる。

徐々にかさぶたができ、

治る過程で

「あぁ、またやっちまった」

と反省し、

惨めな自分を日記にさらけ出す。

日記帳はいつだって優しい。

この程度で済んでヨカッタネ…、

次は気を付けるんだよ、

そういうとこ直した方がいいよ、

と根気強く

何度も繰り返し語りかけてくれる。

5years diaryにこうした経験を書き出すことで、

自然と歩き方を学ぶことができる。

走らないということは

勝負をしないということではなく、

確実にゴールにたどり着く為の作戦なんだよ。

そう子供に教えてあげたいけど、

誰かに言われてもピンとこないんだよね。

経験を通して自分で学んでいってね。

そして10年をかけ、

私は盛り上がって来た気分を

「どーどー」となだめる技を身に付けたの。

突っ走りたくなる気持ちが

湧いてこなくなるのではないの。

「猪突猛進!」

と叫びながら駆け出したくなるときに、

「どーどー落ち着け私」

という声を聞けるようになってきたの。

10年もかけたのかよ、

と笑ってくれて構わないよ。

人生は長く、

私は100歳まで生きたいなぁと思ってるから、

10年かかったけど

30代で改善されたのだから、

残りの70年は安心ってわけ。

私は歩くことが大好き。

タイトルとURLをコピーしました